2008年04月13日

若年寄の諸国で侘び寂び:清見寺

全国展開の四回目は、かつて清見関が置かれた興津の地にある古刹、清見寺(せいけんじ)を取り上げます。

清見寺は、東北の蝦夷に備えるために設けられた関所「清見関(きよみがせき)」の傍らに、関所の鎮護として設けられた仏堂が始まりとされています。

鎌倉時代には聖一国師(東福寺開山)の弟子・関聖上人が清見寺を再興し、1262年(弘長2年)に聖一国師を大導師として招いて諸堂の落成式を行ったとのことです。その後、足利尊氏を始めとして足利氏や、当地の守護であった今川氏の庇護を受けましたが、戦国の世にあっては、清見関が置かれるほどの要害の地であることから、清見寺も戦禍に晒されること度々でした。そんな中にあって、今川義元の最高顧問であった太原雪斎が清見寺を再興し、自身が修行した妙心寺の末寺として清見寺第一世となっています。

その後、江戸時代に入って徳川家康が清見寺第三世・大輝和尚に帰依したこともあり、清見寺は江戸幕府の庇護を受けて伽藍修理などを行い、現在の伽藍を残しています。

清見寺は、名勝に指定されている庭園の他、伽藍なども見所がありますので、それぞれを見ていきたいと思います。


清見寺の参道を歩くとまず目に付くのが、踏切です。
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1889年(明治22年)の東海道本線開通の際に清見寺の寺域の一部が鉄道用地となりましたが、参道の踏切はその名残とでもいうべき現象です。
同じような例は、円覚寺にも見られます。

参道を上がると、建物が見えてきます。
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右側は「潮音閣」といい、拝観者の客殿のような位置付けになっています。潮音閣から見る清水港などの景色は見事です。
左側は「鐘楼」です。
中に吊るされている梵鐘は、1314年(正和3年)の銘があり、また豊臣秀吉が伊豆韮山攻めの陣鐘として使ったといわれています。

仏殿」です。
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仏殿は1842年(天保13年)の改築で、釈迦如来等を祀っていますが、前述の足利氏との縁から、足利尊氏の木像も安置されています。

大方丈」です。
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大方丈は1825年(文政8年)に改築されたもので、内部には琉球王子筆の「永世孝享」の額や朝鮮通信使の詩文が飾られています。
また、大方丈に付属する大玄関は、1616年(元和2年)に建てられたもので、天井板は清見関の古材を使ったもので、鎌倉時代の梶原景時一族による合戦の痕が残る血天井になっています。

なお、建物の前に見える梅を「臥龍梅」と呼び、徳川家康が清見関の梅を接樹したものだと伝えられています。


仏殿の脇には「五百羅漢石像」があります。
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1788年(天明8年)に造られたものとされていますが、作者は判っていないようです。
いずれにしても、なかなか見事な五百羅漢だと思います。


前述の大方丈には、「徳川家康手習いの間」の遺構が残されています。
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特段、家康がこの部屋で手習い=勉強をしたということではないのですが、違い棚などは当時のものが遺されているとのことです。


そして、こちらが「清見寺庭園」です。
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作庭は江戸初期、山本道斉によって造られたと伝えられています。
その後、少々改修されていますが、家康が駿府城より持ち込んだ石や柏の木、そして銀砂灘と称される砂利盛りなどが当時の雰囲気を存分に伝えています。

庭の木として蘇轍などが見えるあたりは、この地が温暖で、かつては避寒地でもあったことの表れでもあります。
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清見寺庭園の中でも注目したいのは、後背の山に向かって上がっていく滝などの石組だと思います。
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橋の向こうに見える滝石組が、自然の川流れのように庭の上方へと上っています。

そして、池の水などのもととなる滝が、山の湧き水から庭に向かって落ちています。
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その下は、枯山水様に石が組まれていますが、水が枯れていなければ自然な流れが庭に向かっています。
この野趣と石組の調和が、清見寺庭園最大の魅力ではないかと思います。

こちらは「中庭」です。
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大方丈、庫裏、書院に囲まれたさほど大きくない庭ですが、造形は見事で、古刹としての威厳と風雅に満ちたものだと思います。


清見寺は、静岡の寺院の中では比較的大規模で、江戸時代の清見寺のあり様を存分に残している興味深い寺院です。
庭園ばかりでなく、こちらの歴史の香りをも、清見寺で存分に味わっていただければと思います。


−清見寺の概要−
正式名称:巨鼇山清見興国禅寺
宗派:臨済宗妙心寺派
拝観料:300円
拝観時間:8:00-16:30
住所:静岡県静岡市清水区興津清見寺町418-1

−清見寺への行き方−
JR東海興津駅から徒歩15分
・JR東海清水駅、興津駅から、しずてつジャストライン三保山の手線「清見寺」バス停下車、徒歩2分
ラベル:静岡
posted by karesansui at 22:16| 京都 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | その他の地域 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
世には未だ未だ知らない名勝があります
京都の寺院を巡って庭園を知ったような気になっていても
こうして、地方(?)の名庭園を見せていただくと
未だ未だ見なければと思う庭園があちこちにあるのだと感じました

妙心寺の系統だということですが
そういえばどことなく妙心寺庭園に似ているかも
Posted by 雪だるま at 2008年04月21日 06:12
コメントありがとうございます。
> 雪だるまさん
先日久々に京都へ行って感じたんですが、やはり京都は、庭を見るのにお手軽だと思います。
静岡や山梨や、ましてや山口では、お寺の庭のハシゴなんて、移動距離が長くてなかなかできませんので・・・。

でも、日本の各地に京都に負けない素晴らしい庭がいろいろあるんじゃないかと思っています。
今後は、そういうものにも目を向けていきたいですね・・・というより、ネタはあるんですが書いてる時間がないだけでして(苦笑)。
Posted by karesansui at 2008年05月02日 00:25
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