柴屋寺は、吐月峰(とげっぽう)柴屋寺とも呼ばれる寺で、1504年(永正元年)に連歌師の柴屋軒宗長が草庵を結んだのが始まりとされています。
柴屋寺の寺伝によれば、宗長が草庵を結ぶ以前、この地は駿府の外城の一つ、丸子城があり、後の駿河今川家当主・今川氏親がこの地にあって難を避けており、宗長も丸子城に滞在していたと伝えられています。
宗長は、もともと京都で宗祇に師事して連歌を学び、一休宗純に参禅して酬恩庵に住んだほどの人ですから、単なる連歌師ではなく、今川氏親に仕えて今川家の外交顧問としての働きをしたと伝わっています。
そして、今川氏親がこの草庵を寺に改め、柴屋寺にしたようです。
その後、今川家の没落とに合わせるように衰微したものの、徳川家康が朱印地を賜って堂宇を修復し、現在に至っています。
柴屋寺の庭園は宗長自身が築いたもので、慈照寺(銀閣寺)の庭園を模したものとも伝えられ、また周囲の山を巧みに取り入れた借景庭園でも知られており、国の史跡、名勝に指定されています。
この庭園を中心に、柴屋寺を紹介していきます。
こちらが、柴屋寺書院側の庭園です。
全体として小さな庭園で、梅などの樹木を配し、奥には月見石を置いています。
ただ、正直のところ、規模が違いすぎて、慈照寺庭園を模したという雰囲気はありません。
柴屋寺は月の名所ですが、それはこの池に中秋の名月が映るから、とされています。
寺の周囲は高い山に囲まれていますので、月の出る時間は遅いのですが、高くなった月の池に映る様が大層風雅なものであろうことは、容易に想像できます。
柴屋寺庭園のもう一つの顔、借景です。
このように、庭越しに天柱山などの山々を望むことができます。
このあたりのセンスの良さが、国の名勝に指定される所以ではなかろうかと思います。
こちらは柴屋寺書院の北東にある縁側から見た別の庭園です。
この庭園の奥に、このように枯滝があり、かつては水が湧いていて先ほどの池まで水を引いていたと伝わっています。
今では枯山水の様式で、水の流れを水なしに表しています。
個人的に、柴屋寺の白眉と思えるのは、この縁側から見る天柱山の借景です。
形の良い山々が茶室の屋根越しに見える様は、見事の一言です。この借景を見るだけでも、柴屋寺を訪れる価値があろうと思います。
このような一地方の庭園に留まらない京を思わせるような感覚は、宗長自身の経歴に拠るところもあるのでしょう。
今川氏は氏親の代から京都と縁が深く、今川義元もその影響を強く受け、それ故に「お歯黒大名」などと呼ばれて後世において不当に貶められている部分があると思いますけれども、この時代の駿河が京文化の影響を受けていた証として、柴屋寺とその庭園を評価する必要があるのではないかと思います。
−柴屋寺の概要−
正式名称:天柱山吐月峰柴屋寺
宗派:臨済宗妙心寺派
拝観料:300円
拝観時間:9:00-17:00(11-2月は-16:30)
住所:静岡県静岡市駿河区丸子3316
−柴屋寺への行き方−
・JR東海東海道本線静岡駅または静岡鉄道新静岡駅から、しずてつジャストライン中部国道線「吐月峰入口」下車、徒歩10分
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