2005年08月29日

京都の路地裏で:妙蓮寺

55回目は、妙蓮寺(みょうれんじ)を取り上げます。

妙蓮寺は、日蓮の孫弟子に当たる日像上人によって、1294年(永仁2年)に建立されました。
日像上人は日蓮の遺言で京都に日蓮宗を広めるために上京したとされ、五条西洞院の酒屋「柳屋」の未亡人が日像上人に帰依し、邸内に一宇を与え、「柳」の字を二つに分けて、「卯木山」という山号になったと伝えられています。
この妙蓮寺は一時衰退しましたが、応永年間(1420年頃)に宗派の論争から妙顕寺を出た日慶上人によって、再び柳屋の地に再興されました。

その後、寺域を堀川四条に写し、皇室などと関係が深かった日応上人や今出川家出身の日忠上人によって、隆盛を極めました。しかし、天文の法難(1536年)で焼き討ちに遭い、堺への退去を余儀なくされ、京へ戻ったのは6年後の1542年(天文11年)でした。
また、秀吉の聚楽第建築にあたっては、本法寺などと同じく現在地への移転を余儀なくされ、妙顕寺、本法寺といった周辺寺院と同様に、天明の大火(1788年)によって大打撃を受けました。

日蓮の流れを汲む法華宗の流派としては、当初は日像上人直系の四条流でしたが、日慶上人による復興にあたって本門八品門流となり、現在ではその流れを汲む本門法華宗の大本山となっています。

妙蓮寺は、江戸初期に桂離宮の庭を造園した玉淵坊日首がいたこともあり、十六羅漢の石庭があります。
以下、その石庭を中心に見ていきます。


こちらは、妙蓮寺の山門です。
myorenji01.jpg
1818年(文政元年)に禁裏(=御所)から賜ったものです。

山門の向こうに鐘楼が見えますが、この鐘楼だけが、天明の大火から生き残った建物になります(宝蔵も火災から逃れましたが、近年に建て替えられたようです)。

こちらが、妙蓮寺の石庭「十六羅漢の庭」です。
myorenji02.jpg
この庭園は天明の大火による損傷が激しかったとされていますが、近年庭園が補修され、往時の姿に復元されたものです。

写真中央の臥牛石を釈尊に見立て、周囲に羅漢を配しています。
ところが、この羅漢石は15個しかありません
もう一つは・・・この庭園を見ている自分自身を指しているのです。

この真ん中の石が臥牛石になります。
myorenji03.jpg
もともとは伏見城にあったものを、秀吉の命でこちらに写されたものです。
それを玉淵坊日首は涅槃石としてこの庭園に据えました。

確かに、こちらから見ると涅槃の姿に見えます。
石も使い方によって色々な見立てが出来る好例ではないかと思います。

あらためて、庭園の全景です。
myorenji04.jpg
こうしてみると、石の配列などが、臥牛石を中心に良く考え込まれて造られていることが良く分かります。

奥の宝蔵には、長谷川等伯の障壁画(重要文化財)や本阿弥光悦が書き残した立正安国論(重要文化財)、さらには1993年(平成5年)、突然発見された松尾一切経(重要文化財)などがあり、虫干し(9月中旬)の時期に見ることが出来ます。

妙蓮寺には、他にも坪庭があります。
この坪庭も大変造形が良く、どこから見ても庭として鑑賞に堪えられる、大変素晴らしいものです。
myorenji05.jpg
myorenji06.jpg
この庭だけ見ていても、時があっという間に過ぎていきそうなほどに落ち着く、いい庭だと思います。

また、妙蓮寺は花の寺としても知られています。

まずは、桜。
myorenji07.jpg
こちらの寒桜「御会式桜」は有名ですが、他の桜も春は境内を華やかに彩ります。
myorenji09.jpg

今、書院の外に新しい庭園ができていますが、その庭園は桜の木を主体としたものになりそうです。
myorenji10.jpg

また、芙蓉も良く知られており、8月から9月にかけては、芙蓉目当てに境内を訪れるカメラマンも少なくありません。
myorenji08.jpg

さらに、椿。
myorenji11.jpg
妙蓮寺椿」の名は500年続く歴史あるもので、有名な連歌師・宗祇の

余の花は みな末寺なり 妙蓮寺

という歌が今に残っています。

ここには載せられませんが、幸野豊一画伯の襖絵も必見です(通常拝観で見ることが出来ます)。

妙蓮寺は、観光コースとは全く縁遠いマニアックにも程がある寺ですが(実際、訪れた際にお寺の方に言われました)、マニア心を震わすには充分見どころのある、素晴らしいお寺です。
時間をたっぷりとって、ゆっくり訪れていただきたいと思います。
妙蓮寺は宿坊もやっていますので、宿泊がてら訪れられるのも良いかと存じます。詳細はWebページ宿坊研究会の「妙蓮寺」をご参照ください。


−妙蓮寺の概要−
寺号:卯木山妙蓮寺
宗派:本門法華宗(大本山)
拝観料:500円
拝観時間:10:00-16:00
住所:京都市上京区寺之内通大宮東入ル妙蓮寺前町875

−妙蓮寺への行き方−
京都市バス9、快速9、12、67系統で「堀川寺ノ内」バス停下車、徒歩3分
タグ:京都
posted by karesansui at 00:45| 京都 ☔| Comment(3) | TrackBack(2) | 京都(洛中) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
myourenji.com 管理人です。
エントリーよりリンク頂いておりますが、myourenji.com は京都の妙蓮寺さまとは、何ら関係有りませんし、宗派も異なります。当妙蓮寺は真宗本願寺派下関組です。
リンク設定をご修正頂けるようお願い致します。
Posted by admin@myourenji.com at 2006年10月30日 11:35
京都の妙蓮寺です。
紹介ありがとうございます。
万灯会の06年度 作品一覧がやっとホームページにアップできました。
http://www.eonet.ne.jp/~myorenji/
Posted by 妙蓮寺 at 2006年10月31日 14:14
コメントありがとうございます。
> admin@myourenji.comさん
リンク誤り、申し訳ございません。
早速ですが、リンクを修正致しました。
ご迷惑をおかけ致しました。

> 妙蓮寺さん
ホームページの万灯会作品一覧を拝見させていただきました。
これだけの画が灯りになるのはすごいことですね。妙蓮寺さんの別の一面を見せていただいた思いがします。
Posted by karesansui at 2006年11月01日 00:31
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