芬陀院は、一条内経が1320年頃に創建した、とされています(その息子経通という説もあり)。そのときから、一条家の菩提寺となっています。
では、なぜ雪舟寺という俗称がついているのかといいますと、雪舟(もともと禅僧で、等楊という諱(いみな)もあります)が当初入ったとされている宝福寺(岡山県総社市)が、東福寺の末寺で、芬陀院と縁があった、という関係から、雪舟が京都に来る際は、この芬陀院で起居した、とのことです。
そして何より、芬陀院の鶴亀庭園を作庭したのが雪舟とされているからこそ、芬陀院が雪舟寺と呼ばれている理由なのです。 では、その鶴亀庭園を見ることにします。
こちらが、芬陀院の鶴亀庭園(書院南庭)です。
鶴亀が見当たらないといわれるかもしれませんが、これでも寺院の庭園としては、割合判りやすい「鶴亀」です(鶴亀については、結構抽象的に表現する方が多いように思われます)。
ちなみに、右が亀島で、左が鶴島になります。鶴島は、折鶴を表しているので、ちょっと判りにくいかもしれません(鶴を折鶴で表現する、という手法は、他に例がないというほどまれなものでもありません)。
鶴亀の庭を見るときは、まず亀を探した方が、庭園に対する理解が早くなると思います。
芬陀院のパンフレットには、堂々と「京都最古の枯山水庭」と書いてありますが、一時荒廃したものを昭和に入って復元修理した庭ですから、そこまで書くのは行き過ぎという気はしないでもありません。
それはともかくとして、こちらの庭園、鶴、亀が苔の緑と調和して、とても落ち着きます。
石組は、どうしても亀島に目が行ってしまいがちですが、折鶴を表すという鶴島も、なかなか見事なものだと思います。
また、亀島の上に石が立っていますが、これには、庭ができた当初「亀が動く」と和尚が言うので、雪舟が亀の甲に石を突き立て、これによって亀が動かなくなった、という由来があります。もちろん虚構なのでしょうが、それだけこの亀島の石組が素晴らしいと評価されていた証左なのでしょう。
書院東庭です。
奥に見えるのが、茶室「図南亭」です。
庭は、「鶴島を中心に蓬莱の連山を表す」とされるものですが、鶴島の存在感は南庭と違って希薄です。
こちらも、小さいながらも苔と石組が見事に調和した、素晴らしい庭園です。
そして、図南亭の窓越しに見る東庭が、なかなか趣きあるものなのです。
図南亭の裏にある露地です。
落ち着きがあり、趣がある露地庭になっています。
こうしてみると苔と石ばかりの印象ですが、季節感をさりげなく配するのも忘れてはいません。
こういう心遣いが、芬陀院をしてとても落ち着きのある居心地良い空間とさせているのでしょう。
東福寺自体は、紅葉の季節になると観光客が押し寄せる、一大紅葉スポットとして有名ですが、そんな季節ですら芬陀院は人が多くはなく、とても居心地が良い場所のままになっています。
ここでお薄をいただき、のんびりと庭園をながめつつ、いろいろ思索をめぐらしたり、ただぼーっとしてみたり。
そういう風にして休みの日を過ごせたら、どんなにか幸せだろうとは思うのですが、なかなかそう思い通りにはいきそうもありません。
でも、思いがすぐにはかなわないからこそ、この庭園の価値があるのかもしれません。雪舟が明に渡ったのは、既に40代も半ばを過ぎてから。どこまで本当かは分かりませんが、作庭当時の関白、一条兼良が雪舟のために一寺を建て、与えようとしたところ、雪舟が寺ではなく渡明を望んだ、ということが、芬陀院のパンフレットに書かれています。その後の雪舟が日本の絵画史に残した功績は多大で、計り知れません。
自分も、安住の地ではなく、渡明を望む人間でありたい、と思います。
人生は是、時間をかけてこそ、なのかもしれません。
そんな思索にふけるのに、とてもいいお寺です。
−芬陀院の概要−
宗派:臨済宗東福寺派
拝観料:300円
拝観時間:10:00-16:00
住所:京都市東山区本町15-803 東福寺山内
−東福寺への行き方−
・京都市バス202、207、208系統で、「東福寺」バス停下車、徒歩10分
・JR奈良線東福寺駅、京阪電車東福寺駅から徒歩10分
・京阪電車鳥羽街道駅から徒歩10分
ラベル:京都


しかし、雪舟と亀とは何かとても縁が深い様ですが、他にも何かご存知ありませんか?
ありましたら、お教え下さいませ。
> 西島 かをるさん
もともと鶴と亀は長寿のシンボルですが、これは中国で相当古くから言われていたことでして、このことは神仙思想とつながってきます。
そして、仙人の住処とされる蓬莱山を模する庭園には、開祖の長寿などを願って、よく鶴島・亀島が置かれます。
雪舟の作庭では、益田にある医光寺が蓬莱式の庭園になっているようです。益田は雪舟ゆかりの地であって、他にも庭園などがあるようですので、訪れてみたいと思っています。
> qqさん
「芬陀」とは、一条内経の法名です(芬陀利花院)。芬陀利という言葉は上中の上、最上の、というような意味があるようです(参考:http://www.saninkyoku.net/pages/myoukounin.html)。