2011年11月03日

京都の路地裏で「番外編」・高山寺遺香庵

今回の「番外編」は、高山寺の茶室・遺香庵(いこうあん)を取り上げます。

高山寺は774年(宝亀5年)に光仁天皇の勅願によって創建され、1206年(建永元年)に明恵(みょうえ)上人によって再興された、真言宗系の寺院です。
明恵上人が栄西禅師が宋から持ち帰った茶をこの地に植え、さらに宇治等へ移し植えたことが茶の普及の発端となっていて、今でも11月8日に明恵上人献茶式が高山寺で行われています。

遺香庵茶室は、そのような明恵上人のお茶に対する功績に報いる意図で、明恵上人700年御遠忌にあたる1931年(昭和6年)に茶人・高橋箒庵(義雄)の呼びかけで造られました。
作庭は7代目小川治兵衛(植治)であり、彼の最晩年の作品とされています。


石垣を削って造られた階段を登り、風情ある門をくぐります。
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すると、待合へ向かって伸びる道があるので、四季折々の風情を楽しみながら歩いてゆくと・・・。
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坂の頂上に、待合があります。
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頂上に待合があり、茶室を見下ろす形になっているのは、なかなか珍しいと思われます。
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この待合からは、三尾の山々を眺めることができます。

またこの待合には、鐘がついています。
この鐘には、遺香庵茶室を造るにあたって100円を寄付した百余名の氏名が彫られており、高橋箒庵や小川治兵衛は無論のこと、根津嘉一郎や住友吉左衛門といった実業家、千宗室や堂本印象といった文化人など、当代の一流人ばかりが名を連ねています。


さて、待合から茶室へ向かって下りていきます。
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茶室は、四畳台目の通常の茶室と、八畳の書院茶室の2つ。
それぞれに、様々な意匠が凝らされ、風流を絵に描いたような空間が広がります。


そして、そこから見る露地庭もまた、小さいながらも風情あるもの。
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しかしながら、最も植治らしいところは、茶室から待合を振り返ったところにあるのではないでしょうか。
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待合までの露地をすべて庭に変えられてしまったかのような光景は、思わず息を飲むものです。
木々や茶室が与える影までも、計算されたかのように思えます。

高山寺は山間の寺であり、国宝・石水院の庭園(写真撮影禁止)もまたさほど広くないものでしたが、遺香庵庭園はほとんど露地しかない空間であるにも関わらず、これほどの風情を見せていて、小川治兵衛の傑作の一つなのだろうという思いを持ちました。


2011年10月29日拝観(2011年秋・京都市観光協会主催特別公開)


−高山寺の概要−
正式名称:栂尾山高山寺
宗派:真言宗系単立寺院
住所:京都市右京区梅ヶ畑栂尾町8


−高山寺への行き方−
・京都駅等から西日本ジェイアールバス高雄/京北線で「栂ノ尾」バス停下車、徒歩3分
・京都市バス8系統で「高雄」バス停下車、徒歩20分

ラベル:京都
posted by karesansui at 23:22| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 京都(洛北) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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