2011年07月23日

若年寄の諸国で侘び寂び:那谷寺

全国展開の22回目は、石川県の古刹、那谷寺(なたでら)を取り上げます。

那谷寺は、越の大徳と呼ばれた名僧・泰澄によって、717年(養老元年)に創建されたと伝えられています。その際に、霊夢に現れた千手観音の姿を彫って岩窟内に安置したとされています。
986年(寛和2年)、行幸された花園法皇が岩窟内の観音三十三身の姿を感じ、西国三十三箇所観音霊場の一番「那智山(青岸渡寺)」と三十三番「谷汲山(華厳寺)」の一字をそれぞれ取って、那谷寺に改名したとされていますが、真偽の程は不明です。

その後、南北朝時代に荒廃し、白山の修験者などによって何とか命脈を保ち、1640年(寛永17年)に前田利常の再興を得ます。そして三重塔や書院等、大半の伽藍がこの時期に再建され、現在に至っています。

那谷寺は前田利常に由来する名勝庭園を持ち、さらに数々の見所がありますので、順を追って見ていきたいと思います。


山門」が那谷寺の入り口になります。
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近年の再建のようですが、素朴な雰囲気が自然豊かなこの寺にはよく合っています。

そして、参道が一直線に伸びています。
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参道の両側には前田利常が植樹した杉並木があり、木々の下には苔が広がっていて、特に夏は目に鮮やかな緑を見せてくれます。

最初に目にする建物が、「金堂華王殿」です。
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1990年(平成2年)の再建で、中には十一面千手観音などが祀られています。

その隣にあるのが「普門閣」です。
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こちらは1965年(昭和40年)に、白山山麓にあった古民家を移築したもので、もともとの建物は江戸時代後期の弘化・嘉永年間に建てられたものです。

その向かいにあるのが「書院」です。
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1640年(寛永17年)に前田利常が仮本堂から書院に改築したものとされています。
こちらに、名勝庭園があります。


その「名勝庭園」は、小堀遠州に指導を仰いだとされる茶庭です。
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よって、庭園とはいいつつも大振りな岩組等は一切なく、小さな三尊石組や雪見灯篭、苔などがささやかに彩るのみになっています。

そして茶室「如是庵」は前田利常愛用のものと伝わっています。
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貴人口が見えていますが、侘び茶とはやや趣が異なる大名らしい茶室ではないかと思います。

書院から歩を進めると、先ほどの庭園を別の角度から見ることができます。
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特に、池越しの庭園はまた格別な風情ではないかと思います。
池を通して見ると、小さな茶庭ではなく池と一体とされた大きな庭のように感じられます。

その先にあるのが、庭園「琉美園」です。
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近年、中根金作氏によって復元された池泉回遊式の庭園です。

特に、三尊岩の存在感は、特筆すべきものでしょう。
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予備知識がなくても、「三尊」と感じられる素晴らしい自然の造形だと思います。

その琉美園にも、木々があり苔が植えられ、緑が鮮やかです。
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そして、胎内くぐりをするように、トンネルを抜けて参道へ戻ります。


先ほどの三尊岩以上に目を惹くのが、「奇岩遊仙境」です。
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一見、自然の岩組と池を取り合わせた庭園に過ぎないかのように見えますが、拝観者は仙境に遊ぶが如く、歩いて回ることができます。
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角度を変えると、まさに奇岩という名前がしっくり来るような、変わった造形であることが手に取るように分かります。
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この自然の美こそが、那谷寺で最も感じられる部分ではないかと思います。

本堂へと続く参道の脇は、池になっています。
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岩が池に映り、何とも言えない美しさがあります。


大悲閣拝殿」は、国指定重要文化財の建物で、本尊を収める本殿(岩窟の中にあります)を拝する形になります。
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舞台造りでそそり立つ様はいかにも切り立った岩場の建物という感があります。
また、欄間には見事な浮き彫りがされていることがここからでも分かります。

三重塔」もまた、国指定重要文化財になっています。
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飾り気の薄い塔ではありますが、最下層だけ屋根がぐっと張った様は、バランスの良さを感じさせます。

何気ない参道もまた、苔が加わることで庭園であるかのようになります。
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このあたりが、那谷寺のさらなる素晴らしさではないかと思います。


自然の中に人の手を加えた造形が様々な顔を見せ、そしてそれらがどれも素晴らしいというのはなかなか得がたいことであって、そのあたりが修験道に端を発する那谷寺らしい部分なのではないかと思います。この地を訪れた際は、必見の場所と言えるでしょう。


−那谷寺の概要−
正式名称:自生山那谷寺
宗派:高野山真言宗
拝観料:600円(書院・庭園は+200円)
拝観時間:8:30-16:45(12-2月:8:45-16:30)
住所:石川県小松市那谷町ユ122

−那谷寺への行き方−
・JR西日本北陸本線加賀温泉駅から加賀周遊バス・キャンバス山まわりコースで「那谷寺」バス停下車すぐ
・JR西日本北陸本線小松駅または粟津駅から小松バス粟津線(那谷寺行)で「那谷寺」バス停下車すぐ

ラベル:石川
posted by karesansui at 23:15| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の地域 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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