2010年08月22日

若年寄の諸国で侘び寂び:興禅寺

全国展開の17回目は、木曽三大寺の一つ、木曽福島の興禅寺(こうぜんじ)を取り上げます。

興禅寺は、1434年(永享6年)に、木曽信道が先祖の菩提を弔うために荒廃していた寺があった場所を改めたものです。木曽氏は木曽義仲を祖先とするような系譜がありますが、実際にはそのような血筋のつながりはなく、当初から木曽義仲の存在を念頭において興禅寺を創建したわけではないようです。

ともあれ、全山とも三度にわたる火災(昭和に入ってからですら、宿場街が全滅するほどの大火が起きています)により古い建物は残っていませんが、この地の中核をなす寺としてすぐに再興され、また、近年は庭も造られて現在に至っています。

興禅寺は、4つの庭を持ち、特に石庭として日本一の広さを持つ看雲庭はつとに有名です。
これらの庭を中心に興禅寺を見ていきたいと思います。


興禅寺は、興禅寺山を背にして山に向かって建っています。
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よって、参道をくぐるとすぐに上り坂です。
その向こうに黒い門が見えますが、これが「勅使門」です。
旧国宝でしたが、昭和の大火で焼け、戦後になって復元されています。

こちらは「座禅石」です。
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禅刹らしい、そして大庭を持つ寺らしい座禅石です。


4つの庭の最初にあたる「昇龍の庭(登竜門)」です。
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大きな橋が見事な枯山水です。

山から流れる水の流れが龍門瀑を表し、下から上がった鯉が最後は龍になる姿を描いています。
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龍門瀑の庭園は、題意としては古いものですが、この庭園は、実はまだ造られてそう日がないものです。
作庭者は小口基實氏で、氏は須原の定勝寺の庭園も造っています。


こちらは「須弥山の庭(九山八海の庭)」です。
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須弥山は仏教の世界観で世界の中心にある山であり、それを取り巻く山と海を合わせて九山八海といいます。

大ぶりの石組が九山を表し、そこに桜などが彩りを添えています。
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興禅寺は桜の寺でもあり、特に本堂前の枝垂桜は有名です。


そして、こちらが日本最大の石庭、「看雲庭」です。
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作庭者は重森三玲であり、随所に重森三玲らしい部分がうかがえます。

例えば、砂だけで雲を描くのではなく、石で模様をつくることで雲を見せる部分であったり。
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例えば、古式ゆかしく七・五・三に組まれた石組であったり。

例えば、元の庭でも充分広いのに、後背の山々を存分に取り込んで借景としているダイナミズムであったり。
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モダンさと従来からの様式、そして豪放さが絶妙に調和した、素晴らしい庭園だと思います。


それと対極をなすのが、「万松庭」です。
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庭園の奥に茶室があり、そこへの露地を兼ねた庭になっています。

江戸中期に、金森宗和によって作庭されたと伝わる庭ですが、金森宗和自身は江戸初期の人であり、宗和流の系統の茶人か庭師によって造られたとみるのが自然でしょう。
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いずれにしても、看雲庭とは全く発想の違う、穏やかな庭といえるでしょう。


他にも興禅寺は玄関の天井画や宝物館、そして春には桜など、木曽での1日をゆっくり過ごすのにふさわしい場所です。
この地域では必見の寺と言えると思います。


−興禅寺の概要−
正式名称:萬松山興禅寺
宗派:臨済宗妙心寺派
拝観料:500円
拝観時間:8:30-16:30(冬季は一部休み)
住所:長野県木曽郡木曽町福島5659


−興禅寺への行き方−
JR東海中央本線木曽福島駅から徒歩25分

タグ:長野
posted by karesansui at 22:10| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の地域 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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