2009年08月23日

若年寄の諸国で侘び寂び:毛越寺

全国展開の十二回目は、中尊寺と並ぶ平泉の古刹、毛越寺(もうつうじ)を取り上げます。

毛越寺は、慈覚大師円仁が中尊寺と同時(850年(嘉祥3年))に開山したとされています。
もっとも、中尊寺が実質的に奥州藤原氏初代の清衡が創建したといわれているのと同様、毛越寺も奥州藤原氏二代の基衡が実質的には創建されたと考えてよさそうです。
毛越寺は「吾妻鏡」によれば『堂塔40僧坊500』といわれ、発掘調査で「吾妻鏡」の記述と当時の境内の様子が一致することから、中尊寺よりも規模が大きかったことが伺えます。

しかしながら、奥州藤原氏の滅亡とその後の火災、兵火により、毛越寺の建物はほとんどなくなってしまい、1728年(享保13年)に再建された常行堂以外は、庭園がひっそりと残り、礎石が佇むだけの期間が長く過ぎていきました。

毛越寺の復興は近年で、1954年(昭和29年)からの発掘調査によってその規模などが明らかになり、続いて鐘楼や開山堂(当初は宝物館)が建てられ、1989年(平成元年)に至って、現在の本堂が再建されました。


毛越寺といえばやはり、平安時代の遺構として名高い浄土庭園です。
この浄土庭園を中心に見ていきたいと思います。


まずは「本堂」です。
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本堂は、位置こそ旧金堂の遺跡を邪魔しない場所になっていますが、平泉の中でも数少ない平安様式で建てられ、平安の浄土庭園を遺すこの寺に相応しいものとなっています。

常行堂」です。
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毛越寺の中で唯一の江戸時代の建築です。
もともとあった場所とは異なる場所に建てられ、当時の礎石が転用されてもいるようです。

金堂円隆寺跡」です。
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この寺の代表的な伽藍跡です。
他にも「嘉祥寺跡」「講堂跡」などがあり、往時の毛越寺の規模と格を今に伝えています。


さて、ここからは庭園を見ていきたいと思います。
毛越寺庭園は「大泉が池」を中心とした浄土式庭園で、今では周囲を巡る造りになっていますが、当初は中島を通って端が架けられ、岸辺近くまで伽藍(鐘楼や経楼)がきていました。

まずは「築山」です。
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築山には石組が凝らされ、今の枯山水につながる「石による庭」のあり方の原型となっています。
また、山を築くという手法も後年になって当たり前のように広まっていきますが、その原型がここにあります。

洲浜」です。
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同様の形式は山口の宗隣寺くらいしかなく、大変貴重なものです。

しかし、毛越寺では「中島」も洲浜様になっていて、当時の意匠を今に残しています。
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中島には橋の基壇も見え、これまた大変貴重なものだと思います。

小さな島にも、石組が残っています。
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ここまで残っていることが、毛越寺の素晴らしさでありましょう。

そんな毛越寺庭園の中でも別格なのが、「出島石組と池中立石」でしょう。
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大泉が池の中でも最も素晴らしい景観だと思います。
また、キリッと引き締まった石組は、現代でも通用する素晴らしい造形美でもあると思います。
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特に、対岸から見るとその素晴らしさが引き立つと思います。

出島石組と双璧をなすのが、「遣水」でしょう。
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出島石組が現代に通じる造形美だとすれば、こちらはまさに平安の雅を象徴するものでしょう。
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それが石組を含めて完全な形で現在に残っている、というところに、遣水の価値があると思います。
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出島石組とは対照的なゆるやかな曲線美ですが、これもまた今の庭園として造られたとしてもおかしくない、永遠の価値を持つものだと思います。


時代を超えてこのような庭園が今にあることに感謝しつつ、じっくりと眺め、感じたいものが、毛越寺にはあると思います。


−毛越寺の概要−
正式名称:医王山毛越寺
宗派:天台宗
拝観料:500円
拝観時間:8:30-17:00(11/5-4/4は-16:30)
住所:岩手県西磐井郡平泉町字大沢58

−毛越寺への行き方−
JR東日本東北本線平泉駅から徒歩7分
岩手県交通バス「平泉町巡回バスるんるん」「毛越寺」バス停下車、すぐ

タグ:東北
posted by karesansui at 19:09| 京都 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の地域 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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