2009年08月02日

若年寄の諸国で侘び寂び:円通院

全国展開の十一回目は、松島・瑞巌寺の隣にある円通院(えんつういん)を取り上げます。

円通院は、伊達藩(仙台藩)二代目藩主・伊達忠宗の息子、伊達光宗の菩提寺です。
伊達光宗は伊達忠宗の世子として期待されていましたが、惜しくも19歳で亡くなり、一部では光宗の優秀さを警戒した江戸幕府による毒殺説もあるほどです。
その光宗の御霊屋として1646年(正保3年)に建立されたのが「三慧殿」であり、円通院はその翌年に開創されています。

三慧殿は、支倉常長が西欧から持ち帰った様々な文明が模様として描かれているためか、鎖国の世にあってその門は閉じられ、近年まで公開されていませんでした。
その三慧殿を中心に、円通院にはいくつかの庭がありますので、それを順に取り上げてみたいと思います。


まずは、「山門」をくぐって中へと入ります。
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素朴な雰囲気を湛えた茅葺の薬医門で、禅刹の三門という言葉より山門という言葉が似合う門です。


山門をくぐり、境内に入って左側に展開されているのが、石庭「雲外天地の庭」です。
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松島湾に擬せられた白砂の中には、松島湾に実在する七福神の島を模した島が置かれ、七福神を表しています。

白砂の周りには築山もあり、周囲の山々を示しています。
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そして、左側の、先ほどの松島湾などを含む「天の庭」と、右側の「地の庭」の間には、橋が架けられています。
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天と地が一体となって、素晴らしい庭に仕上がっています。


一方、三慧殿への参道やその周辺は「禅林瞑想の庭」と呼ばれています。
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そして三慧殿もまた、引いて見れば庭の一部として感じられます。
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その「三慧殿(国の重要文化財)」ですが、内部には宮殿型の厨子が収められています。
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厨子には西洋的な模様が描かれ、殊にバラは支倉常長が持ち帰ってきたものとされています。
また、馬に跨る光宗像もあり、豪奢な雰囲気が伝わってきます。


三慧殿の周囲は、前述の通り杉と苔と草が広がる庭となっています。
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特に杉林がもたらす影が、この場所を荘厳な、そして特別な場所たらしめるための、陰の主役かもしれません。


禅林瞑想の庭を抜けると、バラの庭「白華峰西洋の庭」が広がっています。
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ここには支倉常長が持ち帰った日本最古のバラとされるものを含め、いくつかの西欧の花が植えられ、お寺の庭というよりはむしろ、西洋の庭園の佇まいです。


こちらが本堂「大悲亭」です。
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もともとは光宗が江戸に滞在していたときに、納涼のための建物として使われていたもので、円通院開創の際にこちらへ移築されたものです。
今では江戸期に江戸にあった建物が非常に少なく、そのような意味でも貴重な建築といえると思います。


本堂西側にはこのような石庭があります。
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こちらは、「深山幽谷の中に仏を表す」庭とのことですが、禅林瞑想の庭が「深山」をよく体現してしまっているので、やや明るすぎるきらいがあるかもしれません。

そして、本堂の前にあるのが「遠州の庭」です。
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「遠州」とは言うまでもなく小堀遠州を指しますが、無論この庭が遠州自身の作になるという証拠はありません。むしろ、伊達藩江戸屋敷から移築されたという説を信じるならば、伊達藩の御用庭師が手がけたとみるのが自然でしょう。
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紅葉、ツツジや池の睡蓮が、季節の移ろいを感じさせる如何にも池泉式らしい庭です。


円通院は菩提の寺、供養のための寺であり、それが瑞巌寺とは全く違う景観をもたらしていますが、そこに数々の庭園が造られたことで、さらに別の、瑞巌寺では見られない名勝としての側面が加わり、東北でもあまり例のない、むしろ京都あたりにありそうなお寺になっているのは、瑞巌寺のあくまでも禅刹たろうとする有り様と比べると、実に不思議なことと思わざるを得ません。


−円通院の概要−
正式名称:円通院
宗派:臨済宗妙心寺派
拝観料:300円
拝観時間:8:30-17:00(12-3月9:00-16:00)
住所:宮城県松島町松島字町内67


−円通院への行き方−
JR東日本仙石線松島海岸駅から徒歩5分
・JR東日本東北本線松島駅から徒歩20分

ラベル:東北
posted by karesansui at 23:15| 京都 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の地域 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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